オンラインゲーム、「フォートナイト」で有名なエピックゲームズとアップルが課金方法についてもめていましたが、裁判所の判断がでました。

- フォートナイトを含むゲームに関するエピックゲームズの動きに関して、エピックゲームズはまだ取り返しのつかない害を示していない
- エピックゲームズはポリシーに違反したため、フォートナイトゲームをAppストアから削除することができ、アップルがAppストアから削除したフォートナイトゲームを戻す必要はない
- 現在の窮状はエピックゲームズ自身のせいである
- Unreal Engineプラットフォームの除外はゲーム業界全体に重大な損害を与える可能性があるので却下(一時的)
何があったのか
アップルは、2020年8月28日までにエピックゲームズの開発者アカウントを終了すると通告しており、iOSおよびmacOS開発ツールからUnreal Engineを含め同社を除外しました。
フォートナイトは、Appストアのガイドラインに違反してアプリ内決済システムを追加したため、8月13日にアップル Appストアから削除されていました。
エピックゲームズのアプリ販売のうち、Appストアでの販売比率は全体の30%にも上ります。
フォートナイトとは
フォートナイトとは2017年に発売されたエピックゲームズのオンラインゲームで、FPV(一人称での視点)でのサバイバルゲームで、100人のプレイヤーが離島の中で戦い、最後のプレイヤーとして生き残るために競うバトルロワイヤル形式を特徴としています。
このゲームは現在、3億5000万人のプレイヤーを集めており、iPhone、アンドロイド、マイクロソフト等の複数のプラットフォームで利用できます。
エピックゲームズ社とは?
エピックゲームズは1991年にティム・スウィーニー氏によって設立され、2019年の収益は42億ドル(約4200億円)。非公開企業による資金調達の取り組みの報告によると、2020年の収益は50億ドル、価値は170億ドル。中国のテンセントが40%の株式を保有しています。
Unreal Engineって何?
Unreal Engineはゲームを作るための核となる開発ソフトで、ゲームエンジンとも呼びます。ゲームエンジンはPC、スマホ、TVなどのあらゆるゲームのベースとなるシステム開発環境を整えるものです。
Unreal Engineはエピックゲームズが開発したゲームエンジンで、ゲーム業界で知らない人はいないといった有名ゲームエンジンの一つです。
Unreal Engineは日本での大人気のTVゲームソフト「ファイナルファンタジーVII リメイク(FF7)」や「ドラゴンクエストXI(ドラクエ11)」更に「キングダム ハーツIII(キンハ3)」などが挙げられます。
格闘ゲームだと「鉄拳7」や「ストリートファイターV(ストファイ5)」がUnreal Engineを起用。このように現在のゲーム業界に欠かせないゲームエンジンがエピックゲームズのUnreal Engineとなります。
エピックゲームズは何をしたのか

エピックゲームズはアップルとグーグルに対してフォートナイトのゲーム内課金システムの運用において独占禁止法に違反しているとして訴えていました。
フォートナイトをダウンロードするためには、iPhoneであればAppストアにて、アンドロイドではグーグルプレイからダウンロードします。
フォートナイトは課金することでゲーム内のアイテムを購入することができるのですが、ユーザーが支払う金額の全てがエピックゲームズに入るわけではなく、売上の30%をアップルとグーグルが手数料として徴収します。
そこでエピックゲームズはゲーム内にて直接支払いできるオプションを用意しました。ユーザーはこのオプションを利用することで、最大20%引きでアイテムを購入することができ、同時にアップル、グーグルへの手数料を間引くことができます。
結果的にエピックゲームズはアイテム課金でのコストを10%削減でき、ユーザーは20%課金コストを減らすことができるようになりました。
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アップルとグーグルの対応

エピックゲームズが行ったWin-Winは、単にアップルとグーグルへの手数料を飛ばしたことによりできており、このような「飛ばし」はアップル及びグーグル共にストアでの取り扱い契約において規約違反となります。
アップルはサードパーティーのアプリストアの存在やWebサイトからのアプリダウンロードをiOS製品で認めていません。そのため、iOSでアプリ内課金を実装する際は、必ずアップルに30%の手数料を支払うことになります。
アップルとグーグルは「飛ばし」は規約違反であることをエピックゲームズに通告をしたのですが、エピックゲームズは無視し続け、独占禁止法の違反を理由に訴えていました。
以上のことからアップルとグーグルはガイドライン違反を理由に、「フォートナイト」をそれぞれのストア内から削除、エピックゲームズのゲーム作成用のエンジン、Unreal Engineもブロックしました。
アップルはその反訴の中で、エピックゲームズは謙虚な善行者ではなく、「Appストアから得られる価値に対して何も支払わないことを望んでいる数十億ドル規模の企業」だと述べています。
エピックゲームズの言い分
エピックゲームズはアップルによる手数料30%を“アップル税”と批判し、不当に競争を阻害しているとして独占禁止法でアップルを訴えました。一方でアップルも、エピックゲームズの規約違反によって被害を受けたとして、損害賠償を求め反訴していました。
判決後の両社
アップルは、フォートナイトの削除に関する決定を歓迎し、「エピックゲームズが直接支払いオプションを削除して現状に戻ることを決定した場合、フォートナイトを歓迎する準備ができています」と述べています。
エピックゲームズの創設者兼CEOであるスウィーニー氏は、アップルとグーグルに対する攻撃を続けています。
「アップルは独占であり、手数料を請求するディストリビューターの問題だけではない」
「すべての競争相手を排除することによって、彼らは消費者の価格を高騰させ、選択を排除し、経済のバランスを保つ基本的なメカニズムを破っている」
このケースと実際のビジネスでの違い
エピックゲームズが気に入らない事の発端はアップルやグーグルが徴収している30%の手数料です。この手数料の支払いによるメリットとデメリットは何でしょうか。
エピックゲームズの2019年の売上は45億ドル(約4500億円)ですが、Forbesによると、アップルがフォートナイトから得た収益は2年間で3億6千万ドル(360億円)です。年間1億8千万ドルがAppストア経由でアップルが得た手数料収入とし、料率が30%とすると、エピックゲームズのAppストアでの年間売上は6億ドルで、エピックゲームズの13%の売上比率です。
6億ドルのアップル経由での年間販売額に対し、結果的に利益改善できる年額は6千万ドル(60億円)です。

エピックゲームズの税引前利益は2019年で7億3千万ドルですので、 年額で8.2%の利益に相当します。
よって、エピックゲームズは直販で20%のディスカウントを行っても、かなり効率よく利益を改善できると考え、直販に踏み切ったのでしょう。これはアップルだけでの試算なので、グーグルも入れると20%近い利益改善が見込まれます。
ですが、単純にこれを許してしまうことはアップルやゴーグルのプラットフォームへのタダ乗りを意味します。例えばあなたが高島屋を経営していて、化粧品メーカーAが販売手数料を支払う条件で店内に商品の販売場所を設ける契約をします。
高島屋の集客力のおかげでメーカーAの商品はよく売れるようになりました。そこでAがあなたに「あなたは高島屋の集客力を独占的にりようして手数料を取っているのはおかしい。なので手数料を払いませんが、店内での販売は続けます」と言っています。
まったくもってして理不尽な話でしかないのですが、実はこれ、私が長いこと身をおいている資源ビジネス等のトレーニング・ビジネスではよく見かけます。それこそ一部上場の大手企業でも平気で立場の弱い会社に対して行ってきます。
今回のケースはアップルが世界に名だたる大企業なので突っぱねる事ができますが、多くのビジネスの場では強者が弱者に対してタダ乗りを強要することがあり、この場合なすすべがないのが現実です。
ですので、強者の無理強いを養護する気はないのですが、トレーディング等の中間業者は常に種まき、プランB、C、Dと展開を変えながら進み続けれるかにかかっています。
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